
海外営業の仕事って具体的にどんなことするの?
このような、海外営業の仕事に関する疑問にお答えます。
記事の内容
- 海外営業とは?業界は?
- 海外営業の具体的な仕事内容とは?
- 海外営業の1日、海外出張のスケジュール例
海外営業の仕事って、イメージが先行して、具体的な仕事内容についてはよく分かりませんよね。
今回は、これまでの海外営業の仕事経験から、具体的な例も踏まえて分かりやすく解説していきますね。
本記事(筆者)の信頼性
- メーカーで国内営業を経て10年超の海外営業経験
- アジア各国、北南米など新興国を中心に海外出張50回超を経験
- 新規国開拓、直接/間接営業、現地法人支援などの様々な海外事業展開の経験
本記事を読んで海外営業の仕事についてより深く知ることで、自分にあったキャリアを考えることに繋がります。
海外営業とは?主な業界はメーカーと商社

海外営業とは、自社が手掛ける商品を海外に展開していったり、対外的な窓口としての役割を担う仕事です。
業務には、販路の開拓、販売の仕組み構築、販促活動、出荷業務、販売後のアフターサポートなどが含まれる場合も。
主な業界としては、メーカーや商社での求人ニーズが多い仕事となります。
ポイント
- 海外営業とは、自社の商品を海外市場へ展開していく仕事
- 海外営業は、仕組み作りやアフターサポートまで幅広く業務を担うことが多い
- 業界はメーカー・商社でのニーズが多い
海外営業は、社内で最も市場に近い立ち位置となります。
販促活動だけをするのではなく、海外へ事業展開していく上での旗振り役としての役割が求められます。
海外営業の業務内容は会社ごとに結構差があるので注意

日本側の海外営業担当者がどこまでの役割を担うかは、会社ごとに差があります。
なぜなら、販路や会社の方針によって、どこまで現地側に任せて、どの部分を日本側の海外営業が担うかが大きくことなるからです。
例えば、以下のような販路・役割のパターンがあります。
販路・役割の例
- 日本側は出荷業務や支援業務が中心。実際の顧客への営業活動は現地の販売会社にほぼお任せ
- 自社の現地法人が販売業務をする。日本側の海外営業は戦略検討や支援がメイン
- 日本にいる海外営業担当者が、現地まで頻繁に出張して営業活動や市場開拓する
「何か思っていた海外営業の仕事と違う!」とならないように、その会社のメイン業務・出張頻度などを確認することです。
海外営業の具体的な仕事内容とは?

海外営業の主な仕事はざっくり以下6つとなります。
但し、前述の通り、どこまで業務に含まれるかは会社ごとで違いがある点はご了承下さい。
- 販促活動
- 販路の開拓・維持管理
- 代理店(販社会社)の支援
- 価格・条件の交渉や契約業務
- 商品の戦略・市場対応
- 製品の戦略・市場対応
以下、順に詳細を解説していきますね。
①販促活動
物やサービスを売るための販促活動も主な業務の1つです。
会社によって頻度は大きく違いますが、海外出張を伴うことや、顧客が来日することもあります。
具体例
- 展示会への出展
- 顧客との関係構築、提案活動
- 入札、商談対応
- 市場・競合調査
リモートワークが普及しましたが、経験して思うのはやはり実際に現地に行かないと進まないこともあります。
海外出張の機会を最大限に生かせるように、販促活動では事前準備をしっかりすることが重要です。
②販路の開拓・維持管理
市場の特徴や自社方針によって、国やエリアごとに最適な販路を作っていきます。
海外展開では多くの場合、代理店(販売会社)を経由して販売する間接営業が主体です。
これは、広いエリアを限られたリソースでカバーするためです。
具体例
- 日本→顧客へ直接販売
- 自社の現地法人からの直接販売
- 代理店(販売会社)経由で販売
海外営業は、新たな販路の開拓や、その販路で適切な営業活動が行われるように管理していきます。
③代理店(販社会社)の支援
代理店(販売会社)を通して販売する場合は、営業が窓口となって社内の関係部署と連携しながら様々な支援業務をします。
現地側の会社は、商品についてよく知りませんし、海外だと人の入れ替わりも頻繁です。
日本側からサポートすることで、販売体制を維持していきます。
具体例
- 問い合わせ対応
- 販売支援
- 製品・サービスの教育
- 製品トラブル対応
このような支援業務は、海外営業の仕事の大きな部分を占めます。
海外営業の担当個人が売り込んでいくというより、社内や海外の販売会社と協力しながら一緒に事業拡大していくイメージです。
④価格・条件の交渉や契約業務
価格をはじめとした様々な条件の交渉や、合意事項を文書化して締結する契約書業務があります。
海外では、日本とは大きく交渉スタイルが違うため、国ごとの特徴を踏まえた交渉戦略を取る必要があります。
国を跨いでの取引となるため、海外ならではのリスクも考慮した上で、契約条件を合意していきます。
具体例
- 販売会社や顧客との価格・納期・付帯条件(保証、責任など)の交渉
- 英文契約書(秘密保持契約、代理店契約、売買契約など)の締結
特に海外では口約束だけでなく、しっかりと合意事項を契約書化するなどしてリスク管理していく必要があります。
日本ではあまりないような交渉スタイルも多いことから、十分に注意しながらの交渉が重要です。
⑤商品の戦略・市場対応
市場のニーズを吸い上げて、社内にフィードバックを返すことも海外営業の役割の1つです。
営業は、会社の中でも市場に最も近い立ち位置となります。
具体例
- 新商品・サービスの投入戦略
- 市場ニーズに対応するための既存商品の改善
特に海外の場合、社内関係者が各国の事情をよく知らないことケースが多くなります。
海外営業が情報をしっかり入手して、社内へ展開することが求められます。
⑥製品の戦略・市場対応
会社によっては貿易実務専任の担当者がいる場合もありますが、貿易・出荷業務も海外営業の責任範囲です。
営業担当に、納期に対する問い合わせ・クレームが届くこともよくあります。
具体例
- 納期・在庫の管理・調整
- 輸出管理
- 出荷書類の作成、物流・通関業者の手配
- 入金管理
- 輸送トラブルの対応
物理的な距離・納期が長く、トラブルも多いのが海外での出荷業務です。
顧客満足度を維持しつつ、オペレーションが効率的に回るように考えることが重要になってきます。
海外営業の新規国開拓の仕事の流れとは?
海外営業には、新たな国に事業を展開していく新規国開拓の仕事もあります。
新規国開拓の仕事は、以下のような流れで進めます。
(順番は、会社や交渉状況などによって前後する可能性はあります。)
- ターゲット国の選定
- 市場調査による事業性判断
- 販路の選定
- 代理店(販売会社)との契約締結
- 販売の仕組み作り
海外営業の新規国開拓は大変な部分も多々ありますが、自分がその国の第一人者になるチャンスでもあります。
以下、順に詳細を解説していきますね。
①ターゲット国の選定
市場・自社・競合の観点からターゲットとなる国を絞っていきます。
どこを狙うかというのは、成功を決めるめちゃくちゃ大事なポイントです。
当然、市場が大きくなるほど競合も増えるため、一概に大きい市場を狙うのが良いとも限りません。
例えば、以下のような観点から絞り込みをしていきます。
具体例
- 市場性のあるエリア(例:高成長率、自社商品のニーズが高い国)
- 自社が有利なエリア(例:自社拠点や、販売会社から近い国)
- 競合が少ないエリア(例:競合がまだ進出していない)
但し、実際には現地で活動しないと分からないこともたくさんあります。
統計的な情報である程度絞った上で、実際にターゲット国の市場調査をします。
②市場調査による事業性判断
事業性を判断するための情報や、販売していく上での課題を把握するために情報収集します。
儲かる見込みのある市場でないと、労力をかけて新規参入する意味がありませんからね。
商品によって方法は様々ですが、例えば以下のような方法があります。
具体例
- 展示会への出展
- 顧客訪問(情報収集、提案)
- 関連機関からの情報収集
- アンケート調査
ある程度の需要が見込めそうであれば、会社として参入すべきかの事業判断をします。
③販路の選定
実際に物を売っていくためには、販路を決める必要があります。
自社法人のない新規国で物を売っていく場合、通常は現地企業と代理店(販売店)契約を締結します。
会社の選定は、以下のような観点から見定めていきます。
具体例
- 経営状況に問題ないか
- 販売力、顧客との人脈がありそうか
- 会社の実力、経験・実績はあるか
- 意欲はあるか
販路をどうするかは間接営業主体の海外においては売れ行きを左右する非常に重要な要素となります。
④代理店(販売会社)との契約締結
販路が確定したら詳細な条件を英文契約書にして、相手先の会社と契約締結の交渉をします。
お互い自社に有利な条件を入れようとするため、営業担当が交渉して落としどころを合意します。
合意する条件としては、多岐に渡りますが例えば以下のようなものがあります。
具体例
- 両者が担う役割
- 支払い条件
- 様々な付帯条件(保証期間、引き渡し条件, 独占販売権の有無など)
- トラブル、係争時の条件
- 契約期間、契約終了に伴う条件
販路を作ったからといって、うまく事業拡大に繋がるとは限りません。
うまくいかなかった時のことも考えた上で、相手先の会社と条件を合意していくことが必要です。
⑤販売の仕組み作り
契約を締結したら、実際に販売していくための戦略や仕組み作りをしていきます。
相手の企業が商品のことを理解していないのはもちろん、しっかりと教育しないと自社のブランド価値に影響が出てしまいます。
具体例
- 販売会社への教育
- 製品や販売に関する戦略策定
- アフターサービスの仕組みの構築
販路が決まったからといって、何もしなくても積極的に活動してくれる会社はそう多くありません。
定期的にフォロー・サポートしながら、うまく軌道に乗せていく必要があります。
【具体例】海外営業の1日とは?(国内勤務時)

海外営業になってからは、担当国の時差を考慮してスケジュールを組むようにしていました。
私の場合、時差の関係で、昼~夕方に海外との打合せや電話していました。
そのため、フレックスで遅めに業務を開始したり、社内との打合せは極力午前中に入れる形にしていました。
<1日のスケジュール例>
9:30-10:00 メール確認
10:00-11:00 社内打合せ
12:00-13:00 昼休憩
13:00-14:00 社内打合せ
15:00-17:00 海外との電話会議
17:00-21:00 現地スタッフ・販社との電話、メール処理、事務作業など
このように、担当する国によっては時差を考慮した働き方が求められる場合もあります。
【具体例】海外営業の海外出張の頻度・期間・スケジュールとは?

あくまでも私の場合ですが、海外出張は多い時で月1回ペース、移動日を含めて4~7日程度で行っていました。
これは、頻度としてはかなり多い方だと思います。
まだオペレーションが確立しておらず頻繁なサポートが必要な新興国を中心に担当していたことも影響しています。
<海外出張のスケジュール例>
1日目:移動日(早朝出発~夜に到着)
2日目:販社や顧客との打合せ (2~4件程度)
*夜は現地スタッフとの飲み会
3日目:AM 打合せ
PM 国内移動フライト
4日目:打合せ、夜行便で帰国
国際線、現地の国内線、現地での車移動など、かなり長時間の移動をすることになります。
距離が遠い国へ行くことも多かったので、体力的には結構きつい部分はありました。
まとめ:海外営業の仕事をブログで深く理解しよう
本記事では、海外営業の仕事内容について具体例を交えて解説しました。
海外営業の仕事内容は、一般的にイメージされるものとは違う部分もあります。
経験者による個人ブログで、実際の生の声を聞いてみることで深く理解しましょう。
>>海外営業の全体像を知りたい方は「海外営業になるには?」をご覧ください
>>「海外営業と国内営業の違い」を知りたい方へ
>>「海外営業のキャリアパス」を知りたい方へ